翻訳業者が使っている翻訳支援ツールとは
翻訳業者が使っている翻訳支援ツールとは
翻訳支援ツールは、その名のとおり翻訳者の作業を支援するためのツールです。英文でComputer-Assisted Translation Toolと書くことから、その頭文字を取ってCATツールとも呼ばれています。専門的な分野の翻訳を行う際に、翻訳者は経験と知識を要求されることになりますが、その負担を軽減して効率的な翻訳作業を可能にしてくれるコンピュータソフトになります。翻訳支援ツールは提供する機能の違いにより「翻訳メモリ」と「翻訳ソフト」の2種類に分かれます。翻訳業者の多くでは、この「翻訳メモリ」と「翻訳ソフト」が一体化された業務用翻訳支援ツールを導入しています。ただし、一体型のツールは「翻訳メモリ」機能において、専用ツールと比較した場合に柔軟性で劣ることが多いようです。そのため翻訳クオリティを重視する会社ほど、専用の「翻訳メモリ」と「翻訳ソフト」をそれぞれ導入し、連携させることで品質を高めています。
翻訳支援ツールと自動翻訳はどのように違うか
翻訳者自身も、翻訳支援ツールと自動翻訳の違いについて誤解している場合が多いのですが、翻訳支援ツールと自動翻訳は全く異なるものです。自動翻訳はコンピュータソフトが翻訳の全てを行いますが、翻訳支援ツールは翻訳者の作業を補助するコンピュータソフトです。自動翻訳は現在でも翻訳精度が高いとはいえず、業務用の高価なソフトでも満足な翻訳結果を得られません。翻訳のクオリティを担保するには、いまだ人間の経験やファジーさなどが必要だといえます。翻訳支援ツールは翻訳者が作業を行う際に、記憶や編集、翻訳結果の活用を補助してくれるコンピュータソフトなので、自然な文章による高品質な成果物を期待することができます。いわば人間とコンピュータ双方の利点を合わせたものが支援ツールによる翻訳になります。
支援ツールを使用しているメリット
翻訳支援ツールを利用した翻訳のメリットは、翻訳品質に対するコストパフォーマンスが高いことにあります。人力だけでは時間がかかり、料金もけっして安いと言えない額になります。翻訳支援ツールがあることによって、作業時間も短くなりコストカットに繋がるため、利用者は満足できる翻訳結果をリーズナブルに得ることができます。翻訳支援ツールがもつ「語句の管理機能」で、文章全体の統一性も高くなるので、翻訳者のスキルによる品質のばらつきが少なくなることもメリットの一つだと言えるでしょう。また、原文と訳文の対比がしやすく、書籍翻訳のような文章量が多いケースで力を発揮します。用語管理ができるので、専門分野についての文章を複数の翻訳者で作業する場合にも用語の統一が図りやすくなります。チェック機能により文字やスペースの全角・半角指定、かっこの閉じ方など表記のゆらぎが統一できるので、整った納品物がほしい方にもよいでしょう。
支援ツールを使用するデメリット
デメリットについては依頼者にはとくに関係ありませんが、翻訳者にとってはいろいろあるようです。「翻訳メモリ」に記録されている訳文に合わせなくてはならないため、自分の翻訳スタイルに合わせることができない。使用中のエラーが多い。マニュアルが完備されていないので使いこなすのに時間がかかる。WordやExcel、PowerPointの翻訳をした時に、元のファイル形式に戻すことができないことがあるなど。依頼者には直接関わってくることではありませんが、このようなトラブルに慣れている翻訳業者を選ぶことは納品時のトラブルを避けるためにも大切だといえるでしょう。
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